現在ヲ読ム 平成28年1月1日

「神仏和合の祈り」紀伊山地三霊場会議総裁就任にあたり| 平成二十八年

謹んで新年の賀詞を奉ります。
今年は神木「ナギ」の御幣を持った子猿を抱いて、初日を拝む白猿を描きました。初日にかざした金の宝珠は私達の「心」を表し、初日をうけて新たな生きる力をいただく甦りの願いを込めました。

「浄く、明るく、正しく、直く」は生活の基本の姿でありますが、実はこの暮らし方が最も難しい時代に私達はいるのかも知れません。この言葉を心の羅針盤にして、明るく真っすぐ元気に歩んで行きたいものです。

さて、昨年七月、紀伊山地三霊場会議 第二代総裁に就任いたしました。この会は、日本で十二番目の世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」十五社寺で構成されています。神道、仏教、修験道の聖地が祈りの道によって繋がり、日本で初めて巡礼の道として登録されたことをうけ、平成21年、高野山金剛峯寺 松長有慶座主を初代総裁に迎えて「紀伊山地三霊場会議」が発足いたしました。

加盟している十五社寺は、世界遺産登録地に相応しい「第一の門番」として三霊場の保全と発展を目的に活動を続けていますが、私はこの会の重要な存在意義は他にもあると思っています。

縄文時代にまで遡り自然信仰を起源とする神道、六世紀に伝わってきた仏法、七世紀に開かれた修験道という三つの異なった宗教世界は、「神仏和合」という希有な日本固有の精神文化を醸成し、未来に繋ぐかけがえのない遺産として伝えられてきました。

その象徴的存在である紀伊山地の三霊場が悠久の歴史の変遷を経て辿りつく未来には、必ずや宗教宗派の壁を越えた「萬教帰一」の姿が顕現されていなければなりません。お仕えする私達は、独自の信仰の興隆、文化的景観の保全に努めながら、人類の救いのための祈りだけでなく、地球という全ての命あるものの母のために、宗教者が一丸となって祈り続けていくことが、今求められているのではないでしょうか。

この「和」の世界観、宗教観をもって、及ばずながら「第二の門番」としての役目も心がけて行きたいと思っています。どうか熊野、高野、吉野にお出かけいただき、神道、仏法、修験道の精神文化にふれていただきますよう、御参拝をお待ち申し上げております。

熊野速玉大社宮司 上野 顯

※紀伊山地三霊場会議 加盟社寺
(熊野)熊野速玉大社、熊野本宮大社、熊野那智大社、那智山青岸渡寺、補陀落山寺
(高野)金剛峯寺、金剛三昧院、慈尊院、丹生官省符神社、丹生都比売神社
(吉野)金峯山寺、吉野水分神社、金峯神社、吉水神社、大峯山寺


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