現在ヲ読ム 平成22年5月1日

「神なぎの舞」の完成を寿ぎて 

私達の祖先は、差し昇る太陽の神々しい輝きをはじめとして、暮れゆく夕日のたとえようのない美しさ、また雄々しき山々や巨岩、巨木など、自然の営みの中に在る何か不可思議で聖なるものに「神」を感得してきました。

祖先たちが、自然の営みの中に自らの人生を照らしつつ伝えてきた変わることのない日本の心・・・。それは、自然万物に宿す「聖なるものを畏む」という、素朴で敬虔な「祈り」にこそあると思います。

平成十六年七月七日、熊野・高野・吉野地域が世界遺産に登録されましたことを機に、私は信仰というかけがえのない精神文化を、何とか形に残して次の世代に伝えたいとの思いを強く抱くようになりました。

このような思いをこめて、御神楽の創作をひたすら願い続けて参りましたところ、横浜雅楽会ほかで活躍されておられます副島昌俊先生が快く作舞・作曲に携わって下さることになり、先生の並々ならぬ御尽力により、聖地熊野にふさわしい御神楽が完成し、「神なぎの舞」と命名いたしました。

天皇陛下御即位二十年、また両陛下におかせられましてはご結婚五十年という重なる慶祝の年に、記念すべき御神楽が誕生いたしましたことは、万感胸に迫るものがあります。 歴史に残る名曲を御奉納賜りました副島先生はじめ御力添え下さいました皆様に心から感謝を申し上げますとともに、神々を「畏む」という揺るぐことのない大和心をこの「神なぎの舞」にこめ、熊野速玉大社の御神徳とともに幾久しく後世までも舞継がれゆきますことを願ってやみません。

熊野速玉大社宮司 上野 顯


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