謹んで新年の賀詞を奉ります。
輝く初日をいただき、世の不浄や疫病を祓い清めて福徳を授ける「神兎」を描きました。
天恵寿福の年となりますようお祈り申し上げます。
本年一月から、ようやく熊野神宝館が開館の運びとなりました。
皆さんのお力添えに心から感謝を申し上げます。熊野速玉大社は令和六年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産登録から二十周年を迎え、令和十年に御創建から千九百年の佳節の年を迎えます。「甦りの熊野」の悠久の信仰を伝える根本熊野大権現として、さらに文化財の保護と新たな時代にふさわしい神域づくりを目指してまいります。
さて、昨年は三年ぶりに例大祭をほぼ本来の形で斎行することができました。営々と伝わる伝統神事には、表面に現れるものより実は隠れたところに大切なものがあることに気づかされます。
このことに気づいた時、今まで忘れていた感動が新たに甦ってきます。
例えば、御旅所のお仮宮で、かがり火に浮かぶ神子の「神鎮めの舞」の調べなどは、どこか哀愁を帯びていて、素朴で神秘的な古代の神事に心を動かされます。
祖先たちは、いつ、どのようなところに神を感じたのか?
この永遠の問いの答えが、例大祭の最後に行われる御旅所神事の中にあるのです。
勇壮な御船祭とともに、静寂幽玄な御旅所の古神事を、ぜひ多くの方に注目していただきたいと思います。
人間が成長していくためには、正しい教育とともに、宗教的な情操の涵養が必要であります。
宗教体験から得られる新たな感動は、温かく人の心を育てていきます。忘れかけていた自分を取り戻し、新たな感動が甦る希望の年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
全国熊野会会長 熊野速玉大社宮司 上野 顯

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地球のために祈る|令和四年