現在ヲ読ム 平成20年5月1日

名誉宮司を懐う

昨年六月十六日当大社名誉宮司 上野 元が帰幽いたしました。享年九十一歳でありました。

父は、昭和十三年に國學院大學神道文化学部を卒業後、明治神宮に奉職 竈山神社(和歌山)主典 小御門神社(千葉)禰宜 平安神宮主典を経て 昭和二十一年 父祖の跡を継ぎ熊野速玉大社禰宜として故郷熊野に帰り、昭和三十五年宮司に就任いたしました。

終戦直後の混乱期から御造営に取り組み、皆様のお力添えをいただきながら、本殿、各殿をはじめ、神宝館、参集殿、また平成御大典記念事業として百二十年ぶりに結宮と大礼殿の再建を果たすなど、御神域の整備に心血を注いでまいりました。

平成十二年に宮司職を退くまでの六十二年間に亘り神明奉仕一筋に歩み続け、戦時中の灯火管制下にあっても祖父とともに神倉山の火祭りを途絶えさせることなく、伝統神事の命脈を護り通した気骨のある神主でもありました。

この間昭和三十七年に昭和天皇様、香淳皇后様、昭和四十六年に皇太子同妃両殿下、平成四年には浩宮様の御参拝を賜る光栄にも浴し、楽しい時も苦しい時も大神様のお導きのもとに、皆様に支えて頂きながら歩ませていただいた豊かな人生であったかと思います。ここに心から感謝を申し上げますとともに、御霊の幽世の御安坐をお祈り申し上げます。

今後とも名誉宮司の示された道を職員とともに真っすぐに歩んでまいります。どうか倍旧のお力添えを賜りますよう衷心よりお願い申し上げます。

熊野速玉大社宮司 上野 顯


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